
本日は、海外でのものづくりにとりくむ私たちが現地語でのコミュニケーションを重視する理由について紹介して参ります。
直接靴下の製造現場とやりとりをしたい。
海外の工場の中には、数は限られていますが、英語や日本語が通じる場合もあります。
しかしながら、工場に外国語に堪能な担当者がいたとしても、ものづくりに精通しているとは限りません。
担当者が指示内容をしっかり把握したうえで、製造現場へ通訳(翻訳)しないと正確に伝わりません。
優秀な工場と取引をしていたとしても、担当者の経験によってコミュニケーションの質が左右されます。
担当者と製造現場の間のコミュニケーションは依頼者側からは見ることができないため、トラブルが発生した場合どこに原因があるのかわかりにくくなります。
私たちはコミュニケーションエラーを極力抑えるため、仕様書は100%工場側の現地語で製作しています。
自らの言葉で考えかたや感情をストレートに伝えたい。
自らの考えや感情を相手に伝えたい場合、通訳や翻訳を介すると熱意や想いが薄まって伝わってしまうことがあります。
私たちにとって靴下の製造工場との関係性はビジネスのコアの部分です。
2021年、将来を一緒に歩むことを決めた台湾の靴下工場が閉鎖しました。原因はコロナによる業績不振でした。
工場閉鎖にともない新しい工場を探す必要性に迫られました。
ここならという工場が見つかると、先ずは自分の考えかた。過去の経験と将来の展望を書いたメールを送信しました。
翌日工場に電話をして読んでもらえるようにお願いしました。
取引をはじめてからも、定期的に考え方や未来の方向性について報告するようにしています。
工場の協力を最大限まで引き出すためには、オーダー数量が必要です。
数量が見込めないのであれば、将来の展望を共有するしかありません。
工場に将来を買ってもらうことができれば、先行投資の意味での協力を引き出すことが可能です。
現地の言語ができれば、自らの言葉で「熱意」を伝えることができます。
相手にとっては母国語になりますので、多少語学力が不足していたとしても伝わりやすくなります。
長年苦楽を共にした工場が閉鎖してはじめて、語学の大事さを思い知りました。
外国語でのコミュニケーションができなければ、立ち直ることができなかったのかもしれません。
岩村 耕平
合同会社ブリングハピネス代表
靴下マイスター
東京都練馬区生まれ。
中華圏と携わって34年目。中華圏でのものづくりの仕事をして24年目。
業務のコミュニケーションはすべて中国語で行う中国語の達人。
大手ぬいぐるみメーカーで通訳、貿易事務、生産管理を経験ののち、靴下OEM製造の魅力に取りつかれ独立。
2014年、合同会社ブリングハピネスを立ち上げる。

