アシンメトリーソックス(左右柄違い靴下)の製造で起きた失敗事例

こんな方に向けた記事です

  • アシンメトリーソックスの製造を検討している
  • 左右柄違いのオリジナル靴下を作りたい

本記事では、左右柄違い靴下を製造した際に実際に起きた失敗事例をもとに、どこで判断を誤りやすいのかを整理して参ります。

アシンメトリーソックスとは

アシンメトリー(asymmetry)とは、
左右非対称のデザインを指す言葉です。

靴下の場合は、
左右で柄や文字、配置が異なるデザインを意味します。

失敗事例①|柄は同じで、位置だけが違うデザイン

あるお客様より、

「左右柄は違うけど、大丈夫ですよね?」

というご相談をいただきました。

「大丈夫です」

と回答したものの、
実際に入稿されたデザインを確認すると、左右で柄は同じで、位置だけが異なる内容でした。

靴下の模型を作成し、工場に説明したところ、

製造は可能だが、
工程ごとに検品を徹底してもミスが起きる可能性がある。
できるならデザインを修正した方がよい。

という見解でした。
納期に余裕がなく、時間をかけられない案件だったため、サンプル製作に入る前にお客様へ事情をご説明しました。

結果として、企画そのものが中止になりました。

私自身の油断から生じた問題です。デザイン入稿前にラフのご提供をお願いし、その時点で問題点について説明を入れていればこのようなことになりませんでした。

失敗事例②|文字だけが左右で異なるデザイン

次は、
あるアーティストのコンサートグッズとして製作した靴下の事例です。

ここではアーティストや曲名をお伝えすることができないので、童謡の「ゆきやこんこん」を例にすることとします。

  • 左足の裏に「ゆきや」
  • 右足の裏に「こんこん」

両足を揃えて後ろから見ると、「雪やこんこん」とつながる、とってもかわいいデザインでした。

もしこれが、工場のミスで、

  • 左右とも「ゆきや」
  • 左右とも「こんこん」

になっていたら、購入されたファンの方は確実に失望されることでしょう。

納品直前に発覚したトラブル

お客様に納品する前日に商品が弊社に到着し、20足ほど検品を行ったところ、そのうち数足が、左右両方とも「こんこん」もしくは「ゆきや」になっていました。

「なんだよ、こんこんこんこんって、まじかよ」 

とつぶやいてみましたが、ときは遅し。

その日の出荷は取りやめて、翌日私自らが、お客様にお届けする旨をお伝えしたうえで、その日は徹夜で検品しました。

朝になっても検品が完了せず、30分だけオフィスの床で仮眠をとったあと、翌日の午後までかかって作業し、夕方やっとタクシーで納品させて頂きました。

コンサートがツアーで分納だったこともあり、その後も週末に商品が入荷し、ひとりで全量検品を行いぎりぎりでお客様に納品をする日々が3週間ほど続きました。

検品する度に工場に改善を促し続けたので、不良率も、徐々に下がっていきました。それに伴い帰宅する時間も徹夜→終電→22時と早くなっていきました。

左右柄違い靴下の製造工程

左右柄違いの靴下は、通常の靴下よりも工程が増えます。

  • 右足と左足を別々に製造
  • 編機の設定を変更して片側ずつ生産
  • 縫製・スチーム後に「ペアリング」工程

靴下は伸縮性があるため、スチームのかけ方によって1cm程度の長さのばらつきが発生します。

左右柄が同じ場合は「長さ」だけを合わせればよいのですが、左右柄違いの場合は、「長さ」と「柄」の両方を一致させる必要があります。

失敗から学んだこと

デザイン段階での確認を徹底する

弊社お客様とのサンプルワークでのコミュニケーションを強化するために、2017年に島精機製作所のバーチャルデザインシステムを導入しました。

パソコンの画面上でサンプルを製作することができますので、平面のデザインが靴下の網目になったときの再現性を事前に確認することが可能です。

バーチャルサンプルがOKになった時点で、実際のサンプルを製作します。

バーチャルサンプルで製作を開始してから、サンプルにおけるコミュニケーションエラーがだいぶ少なくなりました。

検品体制を通常より強化する

左右柄違い靴下は、どうしても不良率が高くなります。

  • 検品の時間を長めにとる
  • 日本国内での自社検品
  • 予備を多めに生産する

など通常より慎重に進行するのがベストです。

まとめ|アシンメトリーソックス製作で最も重要なこと

今回の失敗の最大の原因は、通常の靴下と同じ感覚で納期判断をしてしまったことでした。

一度お約束した納期は、何があっても守らなければなりません。

その代償として、週末の予定はすべてキャンセルになりました。

まさに「自業自得」です。

それでも商品は無事に納品され、ありがたいことに、その後も新しいご依頼をいただいています。

今後も、失敗を活かし、ひとつひとつ丁寧に進めるそんなものづくりを続けていきたいと考えています。