編み込み靴下は、なぜ「思った通りに再現できない」のか

「キャラクター靴下をOEMで製作したい」「IPや版権キャラクターの靴下を忠実に再現したい」「全面デザインの靴下を製作したい」「ブランドの柄をオリジナルで靴下に再現したい」ケースでよく使われるのが、編み込みという製法です。

編み込みには特有の制約があり、デザインをそのまま再現できない場合があります。

本記事では、以下のようなご相談をもとに、その理由と対策を解説します。

  • 編み込み靴下をOEMで作りたいが、どこまで再現できるのかわからない。
  • サンプルがデザイン通りに上がってこない。
  • 「できる」「できない」で進行が止まっている。

編み込み靴下は「ドット絵」でできている

編み込み靴下のデザインは、イラストをそのまま編んでいるわけではありません。

サンプルを製作する前に、ドット絵(ピクセルアート)に置き換えられます。

ファミコンなどのレトロゲームのキャラクターを思い浮かべていただくと、イメージしやすいかもしれません。

ドット数と色数の制限の範囲内で、どこまで表現できるかを設計していく。

編み込み靴下のデザインを考える際の基本的な考え方です。

仕様の起点は「ゲージ数」と「コース数」

編み込み靴下の再現性は、主に 2つの数値で決まります。

ゲージ数(針数/Needle)
 横方向の解像度。数字が大きいほど、柄は細かくなります。

コース数(Course)
 縦方向の長さ。靴下の丈によって変わります。

ご要望のデザインを入稿いただきましたら、どの解像度で表現するのが適しているか検討します。

編み込み靴下を作る際、次の順番で仕様を決定します。

  1. デザインを確認する
  2. ゲージ数(針数)を決める
  3. コース数(丈)を決める

編み込みの色数・色の選び方について紹介した記事になります。

編み込みで靴下をOEM製造する際の、色数と色の選び方について教えてください

「できない」と言われるときの理由は、大きく2つに分かれる

再現がうまくいかない理由は、ほとんどの場合、次の2つに集約されます。

デザインそのものが編み込みでの再現に適していない

全面デザインや総柄のオリジナル靴下を製作する場合、特に下記の点が問題になりやすいです。

  • 何層にも重なった境目がわかりにくいグラデーション
  • 1ドット以下の細い線
  • 総柄で密度が高すぎるデザイン

ドット絵で再現できるかどうかを意識しながら、

  • グラデーションを1〜2色で整理する
  • デザインを簡略化する
  • 柄を間引く

などデザイン段階での調整が必要になることがあります。

オリジナル柄の靴下を作り上げた実例を紹介した記事になります。

絵本原画の繊細なタッチを、編み込みで再現した実例

靴下デザインの仕様が工場の設備や技術に適合していない

さらにありがちなのが、デザイン仕様と工場の編機の仕様や技術力噛み合っていないケースです。

工場は、自社の設備と基準に当てはめて製作を進めます。

その結果、

  • サンプルが上がってきたらイメージと違う
  • 修正を重ねても、納得のいく水準に至らない

ということが起こります。

また編み込み靴下のデザインが細かくなり、色数が増えると靴下がきつくなることがあります。

デザインの再現はできたとしても、着用に問題が生じると製品として成り立たなくなってしまいます。

デザイン物の靴下をつくるときの「履き心地」の設計とは

編み込み靴下は「経験値」がものを言う

実際にどこまで再現が可能かは、実際に作ってきた数と失敗の蓄積によって判断されます。

実際に取引をしてみないと、わかりにくい部分でもあります。

仕様を整理してみる

編み込み靴下の製作で遠回りしないためには、「どの仕様で作るのかを把握」することが重要になります。

仕様が決まれば、できない理由、妥協すべきポイント、代替案など言語化できます。

もし、

  • 過去にうまくいかなくてあきらめた経験がある
  • なぜダメだったのか、原因を知りたい
  • 同じ失敗を繰り返したくない

という方がいらっしゃいましたら、なぜうまくいかなかったのかを整理するところから、一緒に考えさせていただきます。

岩村 耕平 
合同会社ブリングハピネス代表
靴下マイスター

東京都練馬区生まれ。
中華圏と携わって34年目。中華圏でのものづくりの仕事をして24年目。
業務のコミュニケーションはすべて中国語で行う中国語の達人。

大手ぬいぐるみメーカーで通訳、貿易事務、生産管理を経験ののち、靴下OEM製造の魅力に取りつかれ独立。
2014年、合同会社ブリングハピネスを立ち上げる。

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