キャラクター靴下の世界観を守るためにサンプルと量産の差をどう抑えるか

本記事は、次のような方に向けて書いています。

  • キャラクターIPを保有・管理しており、製品化における世界観や再現性を重視している版権元・IPホルダーの方
  • キャラクター靴下をOEMで製造しており、サンプルと量産の差異に課題や不安を感じているメーカー担当者の方
  • 「世界観を守ったまま量産する」ための製造パートナーを探している企業・ブランドの方

私たちは、キャラクター靴下の製造において、サンプルと量産の差が大きくなりすぎないことをもっとも重要な判断基準にしています。

キャラクターの「世界観」の基礎を固めるサンプルの製作

キャラクター版権がある製品は、まずはイラストを製作して、イラストを版権元に提出をして「デザイン監修」を行います。監修に合格して初めてサンプル製作に進むことができます。

サンプルが出来上がったら、それを再び版権元に提出をして、「サンプル監修」を行います。許可がおりましたら本生産に進みます。

案件によっては、なかなか承認が取れずに、サンプル製作が複数回にわたるケースもあります。

イラストとサンプルの間にあるギャップ

靴下のイラストは、サンプルを製作する段階で、ドットで構成されたピクセルアートに置き換えられます。デザインによっては、イラストと完成サンプルの印象が大きく異なることもあります。

弊社では、サンプルを製作する前に、靴下がどのような仕上がりになるかを事前に確認できるバーチャルデザインシステムを使用しています。

バーチャルサンプルで確認が取れた後、実際のサンプルを製作する流れとなっています。

キャラクターの「世界観」を量産でどう守るか

サンプル監修に合格したら、いよいよ量産へ進行します。

ただし、サンプルを数足つくる場合と、大量生産を行う場合では、生産条件が異なります。
そのため、サンプルと量産のあいだで、次のような差異が発生することがあります。

  • 色ぶれがある
  • キャラクターの寸法に差異がある
  • 柄の出方が微妙に異なる

以下、それぞれの原因と対策について説明します。

色ぶれが起こる理由

糸見本帳の色と比べると色はブレてはいないが、最終サンプルを比べると微妙な色差が生じることがあります。

多くの場合、その原因は糸ロットの違いです。糸を生産した時期によって、わずかな色差が発生することがあります。

例えば、

  • サンプル:在庫の糸を使用
  • 量産:新規で仕入れた糸を使用

といった条件の違いで、色ぶれが起こるケースです。

対策としましては、できる限り生産の早い段階で差異に気づくことが重要になります。糸が入庫した時点で差異に気づけば納期に影響が出る可能性はありますが、確認したうえで量産に進むことができます。

キャラクターの寸法に差が出る理由

編み込み靴下のデザインは、基本的に「ドット絵」で作られています。

そのため、工場側でデータを変更しない限り、ドット絵そのものが変わることは基本的にありません。

それでも差が出る原因の多くは、最終のセット工程(仕上げ工程) にあります。

靴下は最終工程で、

  • 靴下形の板にセット
  • 蒸気をかけてシワ取り
  • 形を整える

という作業を行います。この工程は手作業で行うため、

  • セット時のテンション
  • 引っ張られる方向
  • 板条件の違い

によって、わずかな寸法差が発生します。

その結果、キャラクターの目や鼻などのパーツが縦長に見えるといった現象が起こることがあります。

キャラクター案件に慣れている工場では、板に目印を付けるなどして、セット位置やテンションを極力一定に保つ工夫をしています。

柄の出方が異なるケース

サンプルと比べて、柄がかすれて見える。サンプルになかった点や線が現れるケースがあります。

こちら量産時に編み機を回すスピードを上げるために起こる現象です。

過去には、キャラクターの口元に「ご飯粒のような黒い点」が出てしまい、全量を作り直した事例もありました。

この点は、工場の考え方に大きく左右されます。弊社の場合、台湾生産では、サンプルと同じ条件で編機を回すことを重視するため、柄の出方が異なるケースは起きにくくなります。一方、中国生産では効率を優先する傾向が強く、こうした事象が起こりやすくなります。

そのため、中国生産では、工場内検品に加えて、第三者検品でカバーする体制を取っています。

見た目だけではない「世界観」を守るという考え方

見た目だけではない「世界観」を守るという考え方

仮に、キャラクターの見た目が守られていたとしても、実際に靴下を使用した際に、

  • 痛い
  • きつい
  • やぶれやすい

といった機能面での問題があると、世界観が崩れてしまう可能性があります。

私たちは、履くものとしての靴下がきちんと成立していることも、キャラクターの世界観を守る仕事の一部だと考えています。

まとめ 台湾と中国の違い

台湾生産では、1工程ずつを丁寧に消化することを前提にものづくりが行われます。

一方、中国生産では、効率を最優先して生産を進め、不良は後工程の検品ではじくという傾向が強くなります。

そのため、

  • 工程ごと改善を続け
  • 機能性を追求し
  • デザインの再現性を突き詰める

という点においては、台湾生産の方が、細部まで品質を詰めやすい環境だと言えます。

もちろん、中国の製造品質も以前と比べると大きく向上しています。
価格帯やデザイン難易度によっては、十分に成立するケースも多くあります。

ただし、

  • デザインの難易度が高い
  • サンプルと量産の差を極力抑えたい
  • キャラクターやブランドの「世界観」を最優先したい

こうした条件が重なる場合、現時点では台湾生産の方が向いているというのが、私たちの判断です。

キャラクター靴下の製造では、単に「作れるかどうか」ではなく、原作の世界観をどこまで忠実に再現できるかが重要になります。

特に、ストーリーを原作とするキャラクターの場合、版権上の理由からも、色味・表情・全体のバランスまで含めた厳密な再現性が求められます。

原作があるキャラクター靴下を製作する際の具体的な考え方や注意点については、以下のFAQで詳しく解説しています。

パディントンベアのような絵本のキャラクター靴下を作るには?