ブリングハピネスを立ち上げる前、私はぬいぐるみメーカーの仕入部門で仕事をしていました。
当時の生産地は中国でした。中国系、台湾系、韓国系など、様々な背景を持つ工場を担当しました。
ときには工場の選定を巡って、ひそかに不満を持つことがもありました。もう10年以上前の話になります。
各系統における工場の位置づけ
当時、多くの韓国系のぬいぐるみメーカーが、中国に工場を設立していました。
高品質のラインに韓国系工場があり、次いで台湾系、安心価格のラインに中国系工場がありました。
会社のメインは韓国系工場でした。
私は中国系の工場を担当していました。
中国留学経験があったので、中国系工場とは経営陣とも通訳を介さずに直接話をすることができました。誠実さも伝わってきて、自然と親しみを持つようになりました。
当時の中国は「高度成長」のまっただなか、「追いつけ追い越せ」「なにするものぞ」という空気感がありました。どうやったら、韓国系の品質に近づくことができるか、たびたび話し合いました。
韓国系工場を選ぶ理由
入社してまもなく、韓国系の工場を担当したことがありました。
日本語ができる韓国人とのやりとりでした。私が売り上げとはあまり関係ない間接部門にいたからなのか、私自身のコミュニケーション能力の問題なだったのか、距離が縮まることはありませんでした。
製品についてちょっとしたクレームを出したときに、「お前に何がわかる」といったようなことを言われたこともありました。経験が浅い私からクレームが来て、腹が立ったのかもしれません。
その時の苦い思い出もあったので、中国工場と関係が深まるたびに「韓国に負けてたまるか」と思うようになりました。
社内でも、中国系工場はつきあいやすくて、こなれた価格を出すことができ、品質も悪くないという評価をされていました。
だけど、会社がメインとして選ぶのは、いつも韓国系の工場でした。
当時は心の中で、
「なぜあの工場ばかりひいきするのか」
「外資系だからなのか」
「値段が高いのに、なぜそこに頼むのか」
鬱屈とした気持ちを持つこともありました。
売れる品質という考え方
退職したあと、製造するだけではなく、売るための商材として靴下に向き合ってきました。
あくまでも仮説にはなりますが、デザインの見た目は同じでも、産地や工場がかわるだけで、製品にまとう空気感が圧倒的に違うことに気づくようになりました。
- デザインやキャラクターに、優れた工場で製造された品質の空気感を加えることで、「売れる」ための後押しができるのではないか。
- すぐには、数字として表れるわけではありませんが、中長期で見れば、ブランドの成長を大きく左右するものではないか。
そう考えるようになってから、10数年前に経験した、韓国系と中国系のぬいぐるみ工場を巡る出来事を思い出しました。
もしかしたら、会社が韓国系の工場を選び続けた理由も、製品にまとう空気感にあったのではないか。
そう思うと、前職のぬいぐるみメーカーの工場選びが、真正面から製品の品質に向き合った結果だったのだと感じるようになりました。
9年間も働かせてもらってよかったと、今更ながらに思っています。
